時代を先取りした先進的プロジェクトでBuddyBoardが活躍。 時間と場所の制約を撤廃し、
関係者の集合知を設計図面に結集!

株式会社三菱地所設計

日本を代表する大手組織設計事務所の一つである三菱地所設計様に、
BuddyBoardを活用するきっかけとなった2つのプロジェクトから導入後の効果などについてお話を伺いました。

目的
  • 設計図面の回覧
  • 赤入れ作業
業種
組織設計事務所
規模
300~1000名

株式会社三菱地所設計Webサイト

TOKYO TORCH設計室 シニアアーキテクト
住谷 覚 様(Torch Tower PJ統括/Hirooka Terrace PJ統括)

株式会社三菱地所設計は、建築および土木関連の設計・監理をはじめ、リノベーション業務、都市・地域開発関連業務、各種コンサルティング業務などを幅広く組織設計事務所です。

課題
  • 異なる人が同時にファイルを開けないため、図面の確認作業に順番待ちが生じていた
  • 大規模で高精細な図面データが重く、閲覧・表示・操作することが困難だった
解決策
  • BuddyBoardによる、一図面データに対する多人数での同時共同編集
  • BuddyBoardによる、軽快な図面データ表示
効果
  • 図面確認作業の大幅なリードタイム短縮
  • 大規模で高精細な図面データもすぐに開いて表示できる快適性

BuddyBoardを活用している
プロジェクト

TOKYO TORCH Torch Tower

住谷)
「TOKYO TORCH」は、東京駅前の常盤橋地区で開発が進む、新しいまちづくりプロジェクトです。現在建設が進む「Torch Tower」(2028年春竣工予定)は、大規模な複合機能を持つ、日本一の高さ(約390m)の超々高層建築となる予定です。「日本や世界を明るく灯す」という想いを込めて設計に取り組んでいます。「Torch Tower」だけではなく、「常盤橋タワー」(2021年竣工)や「銭瓶町ビルディング」(2022年竣工)、常盤橋公園の周辺環境と一体となり、多様な人びとや通りに開かれた場を目指しています。

Hirooka Terrace

住谷)
石川県金沢市に建設中の「Hirooka Terrace」(2025年7月竣工予定)は、当社の設計による「北國銀行本店ビル」(2014年竣工)に連結する「地域の架け橋となるオフィスビル」です。20,000㎡規模のオフィスビルでは全国初となる、Nearly ZEB(設計段階)を実現しました。周辺環境に対して閉鎖するのではなく、「点線のようにゆるやかに開かれたファサード」から、人びとのアクティビティが垣間見えるプロジェクトです。

設計業務へのタブレット導入

iPadを導入したのは10年前

宮田)
今日、当社では業務ツールとしてタブレット(iPad)を導入していますが、それ以前は基本的に図面などは紙に印刷してチェックしていました。施工現場には監理事務所が設けられているのですが、事務所内には「図面ボックス」があり、そこにチェックすべき紙の図面がどんどん積まれていくのです。それらをその場でチェックしたり、現場に来られない設計メンバーもいるので会社に持ち帰ってチェックしたりしていました。関係者との打ち合わせも、基本的に現場へ行き、対面で図面を見ながらおこなっていました。

住谷)
紙の図面の時代は本当に大変でした。例えば社内の関係者で図面を回覧する際、誰かが回覧を止めてしまうこともありました。それが続くと「あの図面はどこにありますか?」みたいな話になって、仕事が滞ってしまっていました。

宮田)
あまりにも滞りが長いと、もはや図面が社内にあるのか現場にあるのかさえわからなくなったりしていました(笑)

堀谷)
そのようなことも背景にあり、当社では10年ほど前からiPadが徐々に導入されていきました。当時は設計者のPCは全てデスクトップだったので、外出の多い設計者が外出先でメールなどを確認できるようノートPCかiPadを配布しよう、という動きが始まったのです。そのときから意匠設計者を中心に、メールや資料の確認にiPadを用いるだけでなく、スケッチやドラフトなどさまざまな業務へと活用されるようになっていきました。だんだん意匠設計者のなかでiPad普及率が高まっていき、PCがノートPCに置き換わった今でも、iPadは多くの意匠設計者によって活用されています。

宮田)
私が所属している工務の担当部署でも、皆ほぼ100%、iPadを持って仕事をしています。PDFでどんどんやり取りしていきましょう、という業務のペーパーレス化の流れがあるのですが、現場に行く際に関係図面の紙を大量に抱えて行かずにすみますし、iPadが1台あれば大量の図面から参照したいものを現場で探し出し、すぐに確認できるので便利ですよね。ノートPCもありますが、隣で溶接しているような環境でノートPCを開くのはなかなか難しく、使い勝手の良さはiPadならではです。

BuddyBoardに興味を持ったきっかけは何ですか?

住谷)
私が同時編集ツールを探していて見つけました。以前使っていたツールは、1つのファイルを複数人で同時編集することができず、その非効率さに課題感を持っていました。そこで色々なツールを調べた際にBuddyBoardを見つけたのですが、ちょうど社外の知り合いもBuddyBoardを活用しているという話も聞いて、これは使えるのではないかと思いました。
そこで、意匠担当に限らずプロジェクトチームの全職能者、管理者を含めてBuddyBoardを紹介し、「まずは試してみましょうか」という話になったのが始まりです。

現場が遠方にあるプロジェクト
だからこそBuddyBoardが活躍する

Hirooka TerraceではどのようにBuddyBoardを活用していますか?

建築設計四部 江利川様
(Hirooka Terrace 意匠担当)

江利川)
対面だと一見容易なコミュニケーションでも、従来のリモート手法だとどうしても「その指摘ってどこのことですか?」という話になり、解消のためにメールやチャットのキャッチボールを繰り返す必要がありましたよね。その点、BuddyBoardは馴染みのある「手書き」での円滑なコミュニケーションを実現してくれて、とても便利です。現場は石川県金沢市にあるので、遠方の関係者とやり取りする機会が日常的に存在しています。そういう点では、日々BuddyBoardの恩恵を受けているように感じます。関係者とのコミュニケーションのしやすさは格段と上がりましたし、東京~金沢間の移動時間も有効活用できますよね。

住谷)
確かに、遠方のプロジェクトだからこそ、本当にBuddyBoardは有効です。誰かが現場にいて私が東京にいるとか、自宅にいる人、新幹線に乗って現場に向かっている人、どんな状況や場所の組み合わせにおいても、BuddyBoardを通じて同一ファイルの確認・編集ができる。セキュリティもしっかりされているので、それも色々な活用シーンでの安心材料になっています。

関係者多数、莫大な図面量となる
大型プロジェクトでは
BuddyBoardが不可欠

Torch TowerではBuddyBoardがどのように活用されているのでしょうか?

建築設計三部 アーキテクト 堀谷 尚貴様

堀谷)
「Torch Tower」は関わる人が非常に多いうえ、図面をはじめとする書類もまたとてつもなく多いので、業務管理は非常に複雑で大変です。これまでは図面のPDFデータをひとつひとつ開いてチェックしていましたが、個々の図面データ自体も重かったり、他の人が編集中で開けなかったりと、従来使っていたツールではうまく動作しなくなることもよくありました。
一方、BuddyBoardでは図面データの表示がとても軽く、サクサク動くのでチェックが容易であること、他の人が編集中でも編集できることからとても効率的に作業を進められるようになりました。ストレスも大幅に軽減され、もうBuddyBoardが手離せませんね(笑)

住谷)
確かに、大幅にストレスは減りました。「見積図」と呼ばれる見積用の図面があるのですが、大規模プロジェクトゆえに「Torch Tower」では何千枚というボリューム感になります。そこに施工図を含めれば、10万枚単位の図面を扱う必要があるのです。加えて、図面に引かれている線の量も膨大であるため、こうしたPDFデータを従来のツールで開こうとすると相当の時間がかかるどころか、むしろ開けば良い方でフリーズしてしまうことも頻繁にありました。こうした図面でもBuddyBoardだと難なく開くことができ、助かっています。「Torch Tower」のような大規模プロジェクトだからこそ欠かせません。


副所長 宮田遼太朗様

宮田)
現場を見ている監理者として、常にタイムリーに施工者へ図面を返していかなくてはなりません。しかし「Torch Tower」のような大きなプロジェクトでは、詳細をすり合わせるための打ち合わせも非常に多く、図面をしっかり見る時間をなかなか確保できません。BuddyBoardを使えばiPadで簡単にチェックできて隙間時間を有効に使えますし、それぞれの担当者が同時に同じ図面をチェックできる。現場をコントロールしていく上でも非常に有意義なツールだと感じています。

創作作業から図面確認まで、
設計者の多様な作業場面を支える

BuddyBoardのどの機能をよく使いますか?

堀谷)
意匠設計では、作図指示の際、図面上の変更すべき部分に赤を入れ、「この箇所の確認と修正をお願いします」とコメントする感じで使っています。同じ職能間で図面のチェック回覧をする際も同様です。また、パースの修正指示においても、「ここの天井の色をこのように」といった指示をBuddyBoardでおこなっているのですが、マーカー機能を筆のように使って修正内容を表現したり、塗りの線や輪郭の線を他のオブジェクトより前に/後ろに置きたい、という状況が後から生じたときでも、レイヤー設定が活用できるのは良いですね。
また、特定のオブジェクトだけを選択/削除したいニーズに対しても、選択ツールや消しゴムツールのオプション機能で対象オブジェクトをカスタマイズして対応しています。私は個人作業でもBuddyBoardを使っており、スケッチや手書き図面などを描くときも、すごく直感的な操作性で作業できるので気に入っています。尺度の寸法を参考にしながら図形を描くことがあるため、尺度設定も重宝しています。

宮田)
私も尺度設定には助けられています。現場では概算寸法をBuddyBoard上で計測する機会が多いので、尺度設定は重要なんですよね。

住谷)
BuddyBoardは簡易な資料作成ツールとしても使えると思っています。パースや図面を取り込み、そこに手書きのコメントを入れたり、iPadで撮った写真を貼ったり、ピンを立てて写真を図面に紐づける機能もあったりして、どれも便利ですね。自分の意図を明確に相手に伝えることができるだけでなく、描きながら自分自身の気づきも増え、手描きならではの良さも改めて実感しています。

江利川)
僕はポインターツールが結構お気に入りです。リモートで電話しながら同じ図面を見て、何か書いたり伝えたりする際に活用しています。従来使っていたツールとの比較になりますが、BuddyBoardでは基本機能で直線を描いたり、面積や距離を測定したりすることが直感的にできるのが良いですね。また、他ページの同じ位置にオブジェクトをペーストする機能やレイヤー機能も重宝しています。レイヤーの不透明度調整を使って複数レイヤーを重ねて見ることで、下図を確認しながらデザインの検討ができたり、レイヤー表示をON/OFFして複数案を容易に比較できます。とても便利な機能だと思います。

図面量や関係者が多いほど
BuddyBoardの効果が生まれる

BuddyBoard導入後の効果は?

堀谷)
「Torch Tower」の施工図は10人以上でチェックをしています。この際、自分がどの図面データをいつ開いても従来ツールのように読み取り専用になることはなく、BuddyBoardは必ず編集可能であることが保証されているというのが、かなりのストレス低減になるとともに安心感があります。以前は「今誰か開いていますか?」といった具合にチャットなどで都度確認していたので、その作業が不要になったのは大変な進歩です。図面チェック自体はリレーで進んでいくのですが、従来は同時チェックができなかったので相当な時間を要していました。BuddyBoardを使って並行してチェックすることで相応の時間短縮ができています。何万枚という単位で換算したら、すごい効果です。

住谷)
やはり場所を問わないところが大きいですね。以前は「この時間に、この場所で打ち合わせしましょう」という調整を要していましたが、場所を問わないBuddyBoardの導入で、その調整は要らなくなります。ほんの隙間時間の電話越しで、BuddyBoardを使って図面に同時書き込みをしながら要点のすり合わせが可能になります。リードタイムを半減とまではいかないですが、3分の1ぐらいは削減できている実感があります。

宮田)
「Torch Tower」は非常にさまざまな用途からなる建築なので、一つの図面をチェックする人が15人を超えることもあります。以前は一人一人順番に編集していくしかなかったので、「一人あたり1日で見てください」といった具合で回覧していくと、回覧の完了まで最短でも15日かかっていました。BuddyBoardの導入で同時編集が可能になり、プロセスが大幅に短縮されました。従来は待ち時間の短縮の試みとして、一つの図面データを複製して同時に赤入れしたりもしていたのですが、今度は15ファイルを統合するという膨大な作業が発生し、結局トータルで考えると何も業務が効率化していなかったことがありました(笑)。なので、同時編集できるBuddyBoardには本当に助かっています。
大規模な現場で図面が多いほど、そして関係者数が多いほど、BuddyBoardの効果は発揮されるものだと思います。

建設業界全体で活用されるサービスへ
飛躍することを期待

今後BuddyBoardに期待したいことは?

堀谷)
図形ツールを使って丸とか四角形をよく描くのですが、そういった頻度の高い機能をツールバー上のアクセスの良い場所に配置するような、そういったUIのカスタマイズ機能ができたらいいなと思っています。

住谷)
日本中の設計者のiPad全てにBuddyBoardが入っているぐらいまで普及してもらえるとすごく嬉しいです。施主も含めた建設業界全体で、みんながBuddyBoardを使っている状況があると、相乗効果によって更なる利便性が生まれると思いますし、将来がとてもワクワクします。

江利川)
もう少し具体的な話をさせてもらうと、図面データのインポートやエクスポートで課題を感じています。現場から多くの製作図がPDF形式で届きますが、その都度BuddyBoardへインポートする作業が発生しています。また、BuddyBoard上での赤入れ作業を終えたら、製作図ごとにPDF形式へエクスポートして、現場へ返却する作業があります。現場の全ての関係者がBuddyBoardを導入してくれれば、インポートやエクスポートの作業もなくなり、大変便利になるはずです。打ち合わせの記録もBuddyBoard上に残していくことができます。
今、どんどんペーパーレス化が進んでおり、現場で打ち合わせする図面もPDFの画面をそのままスクリーンに映し出して共有していますが、他社ツールでは、なかなかそこへタイムリーに書き込むところまではいけていません。BuddyBoardのように直感的な手書きの操作性や、誰が書いたかわかる履歴機能、レイヤー機能といったものがあったらな、と思ってしまう。そういう意味ではBuddyBoardの普及に大いに期待しています。

堀谷
図面データの出し入れの利便性でいうと、エクスプローラーとの連携がされていれば利便性が格段に上がると思います。当社のクラウドストレージサービスが典型例で、当初導入時はブラウザ版でしか使えなくて、インポートやエクスポートが面倒くさいという同じような話が浮上していました。それから少し経ち、エクスプローラーと連携可能になったことで一気に社内普及率が上がったのです。よってBuddyBoardもエクスプローラーとの連携ができたら嬉しいです。
関係者にも広がった方がいいなという視点で行くと、全員がフル機能を必須となるわけではないので、一部の機能しか使わないとか、図面の閲覧のみや、ファイルの出し入れしかしないという人向けのプランがあると広めやすく、ファイルの流れをBuddyBoardで完結できると思います。

宮田)
チェックを入れたデータを、レイヤーごとにロックをかけることで編集不可にする機能がありますよね。しかし、外そうと思えば誰でもロックを解除できてしまうので、「原本ロック機能」というか、消されないようにする機能があると安心だなと思います。現時点で存在するレビューモードでも同じようなことは実現できますが、なんだか機能が複雑というか、とっつきにくい印象があります(笑)。このモードをより使いやすくブラッシュアップしてもらえると良いなと思います。

住谷)
今後は一緒にお仕事させていただいている施工者にもBuddyBoardを広めていきたいと考えています。また、仮に施工者がBuddyBoardを持っていなかったり、iPadを持っていなかったりしても、BuddyBoardのURL共有機能を使ってノートのURLとパスワードを関係者に発行すれば、こちらの指定する期間だけ、アカウントやアプリがなくてもブラウザ上でBuddyBoardを無料で使えますよね。これをうまく活用すれば施工者とのやり取りでもBuddyBoardを使えるし、結果的にBuddyBoardを広めることにも繋がるかもしれません。
私たちも使い始めの頃は何もわかりませんでしたし、コストの面もあって「まずは少し試してみましょうか」といった感じで探り探り始めました。体験して初めて良さがわかるものだと思うので、その体験をURL共有機能で提供することはできると思います。