手描きで設計検討と情報伝達を効率化。 大規模プロジェクトを効率的に推進!
大成建設株式会社
日本の大手総合建設会社の一つである大成建設様に、BuddyBoard導入後の成果についてお聞きしました。
- 目的
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- ・設計プランニングの効率化、および質の向上
- 業種
- 総合建設業
- 規模
- 1,000人以上
大成建設株式会社Webサイト
設計本部 建築設計第二部 部長 杉江様
大成建設株式会社は、1873年創業の日本を代表する総合建設会社で、土木工事、建築工事、都市開発、環境関連事業などを手掛け、国内外で多くのプロジェクトを展開しています。
- 課題
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- ・大型プロジェクトの多岐にわたる設計統括業務の効率化
- 解決策
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- ・BuddyBoardで提案力の向上、プロジェクトメンバー、顧客との齟齬のない情報共有
- 効果
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- ・設計プランニングクオリティの向上およびリードタイムの短縮。紙資料の大幅削減。
手描きとは設計検討や情報伝達を
効率的に行うための手段
- 設計本部の組織構造を教えてください。
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杉江)
設計本部には、実際に設計をしている部門が3つあります。建物のデザイン含め、計画立案とプロジェクト全体の統括を行う意匠設計部門、構造計画を担当する構造設計部門、そして空調や電気などを担当する設備設計部門の3つです。本日参加しているメンバーは全員、意匠設計部門に所属しています。意匠設計部門は用途毎に分かれていて、私と杉野は第2部で研究所とオフィスビルを担当、常田と鈴木は第3部で商業施設やデータセンター、ホテルなどを担当しています。BuddyBoardは我々意匠設計部門から広がっていて、設備設計や構造設計部門でも利用されています。
- なぜ手描きを多用されるのでしょうか?
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鈴木)
我々は多くの関係者と仕事を進めていく中で、図面などのチェックバックの業務が多いです。チェックバックはやはり手描きが早く便利です。以前は図面に直接コメントや指示を書き込むために印刷が必要だったので、会社にいないと対応できなかったのですが、BuddyBoardを導入してからは、移動中でも対応できるようになりました。以前は紙に手描きする場合、例えばパースにチェックバックするときに、印刷部分に水性マーカーの色が乗らなかったり弾かれたりして、手描きで直接書き込める部分を探すのに手間がかかっていました。しかし、BuddyBoardにはレイヤー機能があり、レイヤーごとに透明度も変えられるので、上から書いても見やすくなっています。情報の伝達が効率化されて、僕たちの時間短縮にもなっていますし、情報の受け手も指示内容が分かりやすくなりました。杉野)
設計者は、もともと手で絵を描くのが好きな人が多いです。だから、手描きで書き込むといった土壌があるのかなと思います。私が入社したときも、即日設計という課題があり、1日で一つの建物を手描きで設計して提出していました。我々はそういうことをしてきた世代なので、iPadやApple Pencilを使っての設計業務には特に向いているのかなと思います。常田)
我々は多くの関係者と一緒に、同時並行でプロジェクトを進めています。その中にはCGを依頼している人もいれば、CADを依頼している人もいて、色々な役割があります。プロジェクトを効率良く推進するために、我々はお客様の要望をいち早く把握し、それを上手くチーム内で水平展開する必要があります。そのため、手描きでスピーディーにCGやCADの担当者に情報を共有して指示できることが重要です。各担当者はその指示に従ってアウトプットを作成して、それを我々がチェックバックしていくというような、キャッチボールのようなプロセスを繰り返しながら仕事を進めています。なかには一人で手描きからCGモデルを立ち上げていく人もいると思います。私もCGを自分で作るタイプですが、最初に手描きでイメージを作り、いくつかのシーンを描いて頭の中で具現化してからCGやCADに移る方が効率良いので、手描きで直感的にイメージを描くことが重要だと思います。杉江)
今はほとんどCADを使うので、図面は直線だし文字もデジタルですが、やはりCADになる前の図面は手で書いた方が効率良いですよね。発想も浮かびやすいし、考えながら書く感じが大事です。CADが普及する前は、必ず手で図面を書いていましたし、模型も手で作っていました。手作業の感覚が失われるのはツール進化の過程で避けられないことかもしれませんが、それでも手作業は重要だと思いますね。
多くの関係者が関わるプロジェクトを
効率的に推進
- どのようにプロジェクトを進めているのでしょうか?
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杉江)
お客様から「こういった建物を建てたい」という依頼がきます。まず、企画段階で、敷地条件を確認し、どんな建物を建てたいのかを細かく伺い、建物の要件を整理します。基本設計の段階では、この建物に要求される法的な制限を整理したうえで、敷地内での建物の配置や建物のボリューム、各階の間取りなどを決めます。基本設計が承認されれば、実施設計の段階に入り、お客様と実際の材料や細かい寸法を確認しながら詳細な図面を作ります。最終的にこの図面を基に工事を進めることになります。コンペやプロポーザルの場合はお客様から要件が提示され、基本設計レベルでの提案をして決めていただくことが多いです。企画から進める場合でも、コンペの場合でも言えることですが、最近ではお客様から求められる要件が多く、複雑になってきていると感じます。例えば地球環境に対する考え方とかBCPに対する考え方など、社会の変化とともに要件も変化しています。また、お客様の建物に対する知識量も豊富になってきていると思います。これもあらゆることが検索可能になった時代が反映されていると感じています。プロジェクトの難易度がどんどん上がっているので、我々もそれに追従できるように提案、ものづくりをしていかなければいけない時代に入っていると思いますね。
- BuddyBoardをどのような場面で使っていますか?
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常田)
例えばコンペの提案書などを作成する時に、私はBuddyBoardを利用して絵コンテを書き、全体像をまとめています。枠を作ったものをBuddyBoardにインポートして、そこに内容を入れてゲラを書いています。これが紙面とは違って拡大して作業できるから、細かい部分まで書き込みやすいです。この段階でプレゼンチームや支援部門に共有して、今後の進め方を相談しています。レイヤーを別に作成してメモを書き込んで意見交換していますね。初期段階では、与えられた条件を元に、とりあえずざっとゲラを書いてページ数や構成を把握しています。共有してそれぞれが書き込み、空白を埋める作業もやっています。BuddyBoardみたいなツールがなかった時は、紙でやっていました。間違えたらハサミで切ってテープで貼ってコピーしていましたね。BuddyBoardだとページ構成を少し戻したいと思った時にコピペして移動するだけなので、レイアウト調整がとても楽になりました。あと現地調査などの作業もBuddyBoardを使っています。他のソフトだと写真を一枚ずつアップロードするのが面倒なのですが、BuddyBoardだと写真や地図も一気に取りまとめて情報を取り込んで整理することができます。後から編集したり特定の事例を調べるために写真を見直したりすることも簡単です。自分用のアーカイブとしても使えますし、チーム内で共有することもすぐにできます。スマホで写真を撮って、そのまま貼ることができるのは本当に便利です。Webで調べた情報をスクリーンショットで貼ったり、地図も入れたりできるので、共有クラウドとしても、とても優れていますね。
お客様と一緒に活用すると
質の高い情報交換ができる
- お客様への提案の前に、どのように検討していますか?
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杉野)
BuddyBoardのレイヤー機能を、複数の案を作る時に活用しています。例えば、図面をBuddyBoardに取り込んで、新しいレイヤーに手描きでイメージを書きます。それを構造設計担当者に共有すると色々と書き込んでアドバイスをしてくれます。それを元に、レイヤーをコピペしてアイデアを書き込むと、2案簡単に作成できます。新しいプランを作るときにもレイヤーを使うと効率的です。例えば、プランニングを変えたいと思った時に、1案目を作って、コピペして2案目を作ると、すぐに複数の案を出すことができます。BuddyBoardはお客様との共有も便利です。現在進めている大規模プロジェクトだと分科会が10個ほどあり、その分科会ごとの共有フォルダにデータをアップします。そのデータでそのままプレゼンテーションが出来るのがすごく良いです。私がピンク色で書き込み、お客様が青色で書き込んでいます。分科会で出たコメントをメモできるし、お客様も要望を書き込んでいるので、聞き逃しがなくて良いですね。
- お客様と共有すると、どのような変化がありましたか?
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鈴木)
他のソフトでも書き込み機能はありますが、その瞬間は共有できてもデータが残らなかったりするので、後からあれなんて書いたかな?というようなことが起こりますよね。それに対してBuddyBoardは資料に書き込んだデータがそのまま残りますし、打ち合わせの場で私が書き込むと、その場でお客様がイメージを確認できるので、合意を取りやすいですね。常田)
印刷した資料を配布することに比べて、打ち合わせの進行がすごく早いです。事前にデータをアップして共有しておけば、打ち合わせの前にお客様が内容を確認されていますし、意見を書き込んでくれる場合もあります。お客様との設計の確認工程では、通常だったら1回目の打ち合わせの回答が2回目の打ち合わせで出てきますが、BuddyBoardを使うと1回目の打ち合わせ中に回答が出てくる場合があります。2、3歩前に進んでいる印象があって、その積み重ねで時間が半分くらい短縮されたような感覚です。打ち合わせの回数や時間は決まっているので、BuddyBoardを使ったら、より情報量が多い形で打ち合わせできて、質の高い情報交換ができている印象ですね。顧客満足度も絶対に上がっていると思います。130%くらいかな笑
杉野)
前日の夜中に20部ぐらい資料を印刷して全部クリップ止めするとか、実際にはまだやっているプロジェクトもありますよね笑
BuddyBoardだけでやり取りができていると、移動中の新幹線の中でまだ加筆するとか、打ち合わせギリギリまでブラッシュアップできます。常田)
もちろん紙の強みもあって、それは打ち合わせの場で並べられることですよね。例えば色味の比較だと、並べて見た方が良いので、視認性が必要なときなど、用途によって紙とBuddyBoardを使い分けています。
手描きのアナログとデジタルの隙間を
埋めるようなサービス
- BuddyBoard導入後にどんな効果を実感していますか?
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鈴木)
情報を取りに行ってフィードバックする工数はかなり削減できた印象があります。今までもデータを関係者に送付していましたが、受け取る側はデータを確認して、さらに相手にフィードバックする工数がかかっていました。面倒でそこまでやってくれる人は殆どいなかったですが、BuddyBoardは情報に簡単にアクセスができ、コメントもすぐできるので、不思議とちょっと確認しようと思ってもらえるようになりました。情報へアクセスする工数が最小限になっているから、BuddyBoardがすごくいいなと、みんな思っていると感じています。
- 印刷枚数が減ったと伺いましたが、どのくらいでしょうか?
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常田)
印刷枚数はかなり減りましたね。ほとんど印刷しない週もあります。印刷が必要なプロジェクトの定例会では、いつも15部ほど印刷していて、一部あたり約20枚なので毎回300枚ほど印刷していました。それが2週間に1回あるので、毎月600枚、年間7200枚も印刷していました。ちなみにお客様とBuddyBoardでやり取りしているプロジェクトでは印刷枚数は0枚です。杉野)
私は毎週定例会があるから、年間14,000枚の印刷ということですね。一部30枚だったら21,000枚になってしまいます。定例会だけでそれだけ印刷があります。でもBuddyBoardを使うようになってから、日常的にも紙を使うことが減りましたね。常田)
図面や製作図のチェックもBuddyBoardを使うようになったので、印刷する手間が省けました。これまではA1サイズで印刷していましたが、大きくて自分のデスクでは広げられないので、打ち合わせスペースにあるような広いテーブルに広げてチェックすることが多かったです。チェック後にスキャンしなければならなかったのですが、その手間もなくなりました。今ではiPad1台で図面を表示できるので、自分のデスクだけでなく移動中でもチェックできます。物理的な制約を乗り越えた感じがありますね。
- 今後BuddyBoardにどのようなことを期待しますか?
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常田)
テンプレートが増えると良いですね。例えば人のピクトグラムや、ソファーや植栽のテンプレートです。そういったものがあると使い道がより広がりますし、プレゼンテーション用の図面を作る時にも使えそうです。あとはペンの種類も増やして欲しいですね。鉛筆や、水彩が描けるような種類が増えるほど、絵コンテもより表現豊かに作れるので、使い道が広がりますね。鈴木)
細かい話になりますが、一括でレイヤーの透明度を変えられる機能が欲しいですね。図面チェックバックの時にレイヤーの不当明度を70%にしていますが、チェックモードの時はもう一気に70%やってくれる機能は、本当に欲しいです。杉江)
私自身は、最初にものを考える時にはやはり手で書いたり模型を作ったりしていますが、そういうところが実は大事だと思っています。ただ世の中の流れとして、CADが出てきたり、パースもデジタルで書くようになったりしていますので、そんな中でも手描きの良さを残してほしいですね。今後、BuddyBoardが進化していくとCADになってしまったとならないように、我々のものづくりの心を醸成するようなサービスのコンセプトを大事にしてもらいたいです。手描きのアナログとデジタルの隙間を埋めるようなサービスは、他にはない気がしています。でも実は、それがお客様とのコミュニケーションで有効だし、我々が考える時にも、またチェックする時にも有効なのです。こういった手描きの良さを上手くデジタルと融合させることを、これからも大切にしてほしいですね。